MEO対策

インバウンドMEO対策の完全ガイド|訪日外国人20人に聞いた「選ばれる店」の条件

インバウンドMEO対策の完全ガイド 訪日外国人20人に聞いた選ばれる店の条件

インバウンドMEO対策に「万能の正解」はない

インバウンドMEO対策というと、「Googleビジネスプロフィールを多言語化する」「外国語の口コミを増やす」「外国人向けの写真を充実させる」といった施策が並びがちです。

しかし、実際の訪日外国人の行動を見ると、話はそれほど単純ではありません。結論から言えば、インバウンドMEOに万能の正解はなく、立地×客層×業種業態によって最適な施策はむしろ真逆になることがあります。

JDOCでは、熊野古道を訪れていた訪日外国人8組20名に、現地で店の探し方やGoogleマップ、口コミの見方についてインタビューしました。そこで聞かれたのは、「日本語の口コミの方が信用できる」「観光地っぽくない店を探している」といった声です。

一方、原宿・渋谷・京都中心部など、初訪日の旅行者が多い都市部では事情が変わります。英語が通じる、多言語メニューがある、オンライン予約ができる、クレジットカードが使える。こうした情報そのものが、店を選ぶ理由になります。

つまり最初に考えるべきなのは、「外国人向けに何を追加するか」ではありません。自店の周辺にどのような訪日外国人がいて、その人たちは何を基準に店を選んでいるのか。この順番で考える必要があります。

そもそもインバウンドMEOとは

インバウンドMEOとは、GoogleマップやGoogle検索で店舗・施設を探している訪日外国人に自店を見つけてもらい、比較対象に入り、最終的な来店につなげるためのローカル集客施策です。

中心になるのがGoogleビジネスプロフィールです。営業時間、住所、店舗カテゴリ、写真、口コミ、Webサイト、予約リンクなどを整え、Googleマップ上で「この店なら行けそうだ」と判断できる状態をつくります。

通常のMEOとの違いは、単に外国語を追加することではありません。外国人旅行者は土地勘がなく、営業時間だけでなく、店の外観、入口、料金感、注文方法、決済方法、周辺環境まで確認しているケースがあります。

また、インバウンドSEOとMEOも切り離して考えるべきではありません。旅行前にはGoogle検索やSNSで情報を集め、現地に到着してからGoogleマップで「近くの店」を探す旅行者もいます。Webサイトで認知し、Googleマップで最終確認して来店するという流れもあります。

訪日外国人向けMEOで重要なのは、検索順位だけを見ることではなく、旅行者の来店までの動線全体の中でGoogleマップがどの役割を担っているかを見ることです。

【核】立地・客層・業態によってインバウンドMEO戦略は真逆になる

「外国人観光客」と一括りにすると、インバウンドMEO対策を間違えやすくなります。同じ訪日外国人でも、初めて日本を訪れる人と、何度も日本を訪れて地方まで足を延ばす人では、店選びの基準が違います。

地方・ディープな日本ファンは「外国人向けすぎない店」を選ぶ

JDOCが熊野古道でインタビューした20名は、アメリカ、カナダ、フィリピン、オーストラリア、フランス、ドイツ、ベルギー、台湾、中国などから訪れていました。20代から70代まで幅があり、数週間から1カ月程度滞在する旅行者や、日本へのリピーターも含まれています。また弊社が普段から接する多くの外国人はもしかしたら我々よりも日本に詳しんじゃないか?という日本好きも多くいます。

ここで重要なのは、これらの平均と考えないことです。熊野古道まで訪れる、比較的ディープな日本ファンだからこそ見える行動があります。

店の探し方を聞いた際には、「Googleマップ。ほぼそれだけ」という声がありました。また、Googleストリートビューを使って周辺をバーチャルに歩き、店の外観や周辺環境まで確認する旅行者もいました。

さらに特徴的だったのが口コミです。「英語の口コミより日本語の口コミの方が信用できる。日本人は評価が厳しいから」という意見や、「観光地っぽくない店を探しているから、ローカルの口コミがいい」という声が聞かれました。

この層に対しては、英語口コミの割合を増やし、店全体を外国人観光客向けに見せることが必ずしもプラスになりません。日本人が普段利用していることや、地元に根付いている雰囲気そのものが価値になるからです。

低評価の見方にも特徴があります。「クレジットカードが使えなかった」という不満であれば気にしないが、「衛生面に問題がある」「料理がおいしくない」といった内容なら避けるという回答もありました。星の数字だけではなく、なぜ低評価なのかまで確認しています。

また、口コミが非常に多い店舗について「5,000件レビューがあれば平均評価を信用できる」という意見もありました。口コミ件数は人気の証明だけではなく、実際に営業し、多くの人が利用している店だと判断する材料にもなっています。

都市部・初訪日層では「分かりやすさ」が強い武器になる

原宿、渋谷、新宿、銀座、京都中心部など、初訪日の外国人観光客が多い場所では優先順位が変わります。

この層は、日本の店舗を深く探索すること自体を目的にしているとは限りません。限られた旅行日程の中で観光スポットを回っているため、「ここなら問題なく利用できる」と短時間で判断できることが重要です。

そのため、英語が通じること、多言語メニューがあること、料金が分かること、オンライン予約ができること、クレジットカードやキャッシュレス決済に対応していることが直接的なアドバンテージになります。

飲食店なら料理名や価格、注文方法。体験施設なら所要時間、料金、開始時間、予約方法。小売店なら扱っている商品や免税対応。こうした情報がGoogleビジネスプロフィールやリンク先で確認できるだけでも、来店への心理的なハードルは下がります。

地方のディープ層に有効な「ローカル感」をそのまま都市部へ持ち込むと、逆に情報不足になることがあります。本格的な店ではなく、「外国人には利用方法が分からない店」と認識されれば選択肢から外れます。

客層によって優先すべき施策を変える

項目 地方・ディープな日本ファン層 都市部・初訪日メイン層
日本語口コミ 重要。地元客に支持されている証拠として見られる 重要だが、内容を理解できない旅行者も多い
外国語口コミ 増やせばよいとは限らない 安心して利用できるか判断する材料になる
多言語対応 必要最低限でも成立しやすい 優先度が高い
写真 外観、店内、路地、地元客などローカルな雰囲気 商品、価格感、店内、入口など利用イメージが分かる写真
予約リンク 業態によっては優先度が低い 飲食・体験・観光施設では重要
キャッシュレス 使えなくても致命的でない場合がある 利用可否が店選びに影響しやすい
観光客向け訴求 強すぎるとローカル感を失う可能性がある 外国人対応への安心感につながりやすい

自店はどっち?インバウンドMEOの判断マトリクス

実務では「地方だからローカル型」「東京だから観光型」と機械的に分類するのも危険です。都市部でも日本旅行のリピーターを狙う店はありますし、地方でも有名観光地の駅前なら初訪日層が中心になることがあります。

立地と客層を掛け合わせて、自店の位置を考える方が精度は上がります。

立地・客層 ローカル志向が強い 観光志向が強い
地方・郊外 日本語口コミ、地元客の利用実態、外観・周辺写真を優先 アクセス、営業時間、最低限の外国語案内を優先
都市部・観光エリア 専門性、本物感、地元での評価を優先 外国語、予約、料金、決済、外国語口コミを優先

さらに業種業態を重ねます。

  • 飲食店:メニュー、価格、予約、アレルギー、決済方法
  • 小売店:商品写真、取扱商品、営業時間、免税対応
  • 宿泊施設:設備、アクセス、チェックイン方法、周辺環境
  • 観光施設:営業時間、料金、所要時間、当日入場の可否
  • 体験サービス:予約方法、開催時間、所要時間、言語対応

つまり、「インバウンド向けのGoogleビジネスプロフィール」という共通の完成形は存在しません。同じ観光客向けでも、誰を呼びたいのかによって見せる情報を変える必要があります。

今日からやるインバウンドMEO対策

1. Googleビジネスプロフィールの基本情報を正確にする

多言語化より先に、営業時間、定休日、住所、カテゴリ、電話番号、Webサイトを確認します。旅行者はその日の予定を見ながら移動するため、営業時間の間違いはそのまま機会損失になります。

臨時休業や季節営業がある店舗では特に重要です。インバウンドMEO以前に、Googleビジネスプロフィールの基本情報が信用できる状態になっていることが前提です。

2. 口コミは「外国人口コミだけ」を増やそうとしない

インバウンドで口コミを増やす施策を考えると、外国人客から英語レビューを集めることに意識が向きやすくなります。しかし、熊野古道のインタビューから分かるように、日本語口コミ自体が評価される客層も存在します。口コミを増やす具体的な手順と返信のコツはGoogleマップのクチコミを増やす方法で解説しています。

必要なのは外国人口コミの比率を人工的に高めることではありません。日本人・外国人を問わず、実際の利用者から継続的に口コミが入る状態をつくることです。

都市部の初訪日層が中心なら、外国人利用者から自然に口コミを投稿してもらえる導線を強くする。ローカル志向が強いなら、日本人を含めた通常の口コミ獲得を維持する。この違いを意識します。

3. 写真は「映えるか」より来店判断に使えるか

写真は料理や商品のアップだけでは不十分です。初めて訪れる旅行者にとっては、店舗の外観、入口、店内、座席、周囲の道まで重要な情報になります。

特に地方・ディープ層には、過度に演出された観光写真より、実際の店の空気が分かる写真の方が相性がいい場合があります。

一方、都市部では代表商品、メニュー、料金感、店内の利用方法などを視覚的に理解できる写真の優先度が上がります。

4. 多言語対応は「全部翻訳」ではなく必要な情報から

多言語対応も、情報量を増やすこと自体が目的ではありません。

都市部の初訪日層なら、営業時間、メニュー、料金、予約方法、決済方法といった来店判断に直結する情報から英語対応する方が実用的です。

地方のローカル志向層なら、店本来の日本らしさを残したまま、営業時間や注文方法など最低限困らない情報だけ補完する設計も考えられます。

実際のインバウンド集客でも「誰が近くにいるか」から考える

JDOCが支援した都市部の観光エリアにあるミュージアムでも、最初からMEOだけを改善したわけではありません。

まず現地でインタビューを行い、どの国・言語の観光客が周辺まで来ているのか、どの媒体を見てそのエリアへ来ているのかを確認しました。

その情報をもとに、実際にターゲットへ届いている媒体への広告出稿、Instagramでのブランディング、Googleマップ上で近隣の施設を探している観光客を取り込むMEOを一体で運用しました。

結果として、6カ月間の売上は前年同期比180%となりました。

ポイントは、「外国人にはInstagramがいい」「観光施設ならMEOがいい」と媒体から考えなかったことです。すでにそのエリアへ来ている観光客を調べ、なぜ近くまで来ているのに施設には入っていないのかを確認し、必要な接点を補いました。

インバウンドSEO、SNS、広告、MEOのどれを使うかは、その後に決める話です。

インバウンドMEOでよくある誤解

外国語の口コミが多いほどインバウンドに強い

一概には言えません。外国語口コミが安心材料になる層もいれば、日本語口コミを地元の評価として信用する層もいます。誰を狙うかを決めずに英語口コミだけ増やしても、最適化とは言えません。

Googleビジネスプロフィールを英語化すればいい

英語化は施策の一部です。営業時間が古い、写真が少ない、入口が分からない、料金が分からない状態で翻訳だけ増やしても、来店判断に必要な情報は揃いません。

外国人歓迎を強く打ち出すほど選ばれる

都市部の初訪日層には有効なケースがあります。ただし、地方や日本旅行のリピーターには「外国人向けではない普通の店」が魅力になることがあります。観光客向けの演出を強くしすぎることで、本来持っていた価値を弱める可能性があります。

MEOだけでインバウンド集客は完結する

Googleマップは来店直前の接点として強力ですが、すべての旅行者がGoogleマップから店を知るわけではありません。Google検索、Instagram、TikTok、旅行メディア、OTA、広告など、認知の入口は複数あります。

大切なのは、MEOを単独施策として見るのではなく、旅行者が自店を知ってから来店するまでの中で、Googleマップに何を担当させるかを決めることです。

まとめ:施策を決める前に「誰が近くにいるか」を見る

インバウンドMEO対策に万能の正解はありません。

熊野古道を訪れるようなディープな日本ファンには、日本語口コミや地元らしさが強い武器になります。反対に、原宿・渋谷・京都中心部を訪れる初訪日層には、英語対応、多言語メニュー、外国語口コミ、予約リンク、キャッシュレス対応が安心材料になります。

どちらが正しいのではなく、客層が違います。

だからインバウンドMEOで最初に確認すべきなのは、「Googleビジネスプロフィールに何を追加するか」ではありません。

自店の周辺には、どの国の、どのような旅行者が来ているのか。初訪日なのか、リピーターなのか。観光客向けの分かりやすさを求めているのか、ローカルな日本を探しているのか。そこを把握して初めて、口コミ、写真、多言語、予約、決済の優先順位が決まります。

JDOCのインバウンドMEO支援

JDOCでは、Googleマップの順位だけを上げるMEOではなく、訪日外国人が実際にどのように店や施設を探しているのかを起点に、インバウンドMEO、インバウンドSEO、SNS、広告を組み合わせて集客を設計しています。

現地インタビューや既存顧客の分析を通じて「誰が近くまで来ているのか」「なぜ自店が選ばれていないのか」を確認し、その店舗に必要な施策へ絞り込みます。

外国人観光客は周辺まで来ているのに入店につながらない、Googleビジネスプロフィールを整えているのに成果が見えない、外国語対応をどこまで進めるべきか分からない。そのような場合は、施策を増やす前に立地×客層×業種業態から戦略を組み直すことが重要です。

インバウンドMEOをどう設計すべきか、自店の客層をどう見極めるべきかを具体的に相談したい方は、お問い合わせください。訪日外国人への現地インタビューと実店舗の改善実績をもとに、立地×客層×業種業態に合わせた集客設計をご提案します。